• 第一種住居地域

住居系の用途地域の1つで、住宅の環境を守る為の地域として分けられたエリアの事。 住居専用地域ではない為、日当たりや日影等の制限がそれほど厳しくなく、3000㎡までの店舗・飲食店・事務所(オフィスビル)・ホテル・ガソリンスタンドや50㎡以下の工場を建てることが出来るので、マンションや戸建・店舗等が混在する街並みとなる事が多い。 しかし、大規模な店舗や事務所の建築を制限されており、パチンコ屋などの嫌悪施設は建てることが出来ない。

  • 第一種中高層住居専用地域

住居系の用途地域の1つで、中高層住宅のための地域として分けられたエリアの事。 主にマンションを中心とする中高層住宅の為の地域で建物の高さ制限がない。 建物の種類は2階建て以内かつ床面積が500㎡以下の店舗が建てられるほか、幼稚園~大学などの教育施設、病院、図書館、神社やお寺なども建てられる。 しかしあくまで住居専用地域の為、オフィスビルやホテル・旅館等の建築は許可されず、日当たりや日影など各種制限の内容も厳しいので、主にマンションが立ち並ぶ街並みになることが多い。

  • 第一種低層住居専用地域

住居系の用途地域の1つで、低層住宅のための地域として分けられたエリアの事。 建物の高さが10m、もしくは12mに制限されており(絶対高さ制限)、建ぺい率・容積率などの制限内容が用途地域の中で一番厳しい。 また、床面積が50㎡以下の店舗であれば建てることができるが、この規模では一般的なコンビニですら難しい。 その為、庭付の平屋もしくは2階建ての戸建て等の低層住居で形成されていることが殆どで、敷地が広く低層住宅が立ち並ぶ閑静な高級住宅街を形成することが多い。

  • 第一種特定有害物質

土壌汚染対策法において、人の健康に被害を生ずる恐れが大きいものとして指定された26種類の特定有害物質のうち、揮発性有機化合物に該当する12種類の物質のこと。
これらの物質の使用が認められた土地は土壌ガス調査による土壌汚染状況の調査を行い、土壌ガス調査および土壌溶出調査を実施することとされている。
汚染状態が基準値を超えた場合は、都道府県知事の判断に従って立入禁止措置や土壌の入れ替え、特定有害物質の除去等を講じて健康被害を防止することが土壌汚染対策法により求められる。
この第一種特定有害物質は具体的には次の12種類である。
1.四塩化炭素
2.ジクロロメタン
3.1・2-ジクロロエタン
4.1・1-ジクロロエチレン
5.シス-1・2-ジクロロエチレン
6.1・1・1-トリクロロエタン
7.1・1・2-トリクロロエタン
8.トリクロロエチレン
9.テトラクロロエチレン
10.1・3-ジクロロプロペン
11.ベンゼン
12. クロロエチレン
これらは溶剤といわれているものに含まれていることが多く、塗料を扱う事業や、揮発性の洗浄液を使用する工場、ドライクリーニング工場などでは土壌汚染の可能性が考えられる。

  • 耐火建築物

建築基準法2条第9号の2に定義される、建物の主要構造部(壁、柱、床、梁、屋根、階段)が耐火性能を満たし、かつ、延焼の恐れのある開口部(窓やドア)に防火戸など火災を遮る設備を有する建築物をいう。
この場合に、耐火性能を満たすというのは、
1.主要構造部が耐火構造であること
 (不燃材料を使用した、鉄筋コンクリート造(RC造)、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)、鉄骨造(S造)の両面を耐火被覆した構造、コンクリートブロック造などが主で国土交通大臣の認定を受けたもの)
2.屋内で発生する火災、および周囲で発生する火災による火熱に、当該火熱が終了するまで耐えることができるとする技術基準で定める性能(構造耐力、上昇温度などに関する一定の要件)に適合すること
である。
一定の特殊建築物や、都市計画で定められた防火地域内の一定の建築物は、耐火建築物としなければならない。

  • 耐震診断

建物の耐震基準は建築基準法によって定められており、発生した大地震などの災害を契機に過去何度も改正されている。 既存の建築物で旧耐震基準で設計され耐震性能を保有していない建物を、現行の構造基準(新耐震基準)で耐震性の有無を確認することを指す。

  • 耐震等級

地震に対する建物の強度を示す指標のひとつで、住宅の性能表示制度を定める「品確法」に沿って制定されたもの。 地震で建物が崩壊しないよう、地震に対する構造躯体の倒壊・崩壊等のしにくさを表示したもので、建物の耐震性能によってランクが3段階に分かれており、その数字が大きければ大きいほど、建物の耐震性能が高い。

  • 第二種住居地域

住居系の用途地域の1つで、住宅の環境を守るための地域として分けられたエリアの事。 メインは住居地域ではあるが、大規模店舗や事務所・ボーリング場やスケート場などの遊戯施設を建てることが可能。 第一種住居地域の内容に加えて床面積10000㎡以下ならパチンコ屋やカラオケボックスなども建てられる。 その為、商業地域の周辺でより住居をメインに置いた地域や道が比較的狭い町の住宅街、主要道路沿いに指定されることが多い。

  • 第二種中高層住居専用地域

住居系の用途地域の1つで、主に中高層住宅の為の地域として分けられたエリアの事。 建物の種類は第一種中高層住居専用地域で可能な建物に加えて、2階建て以内&床面積1500㎡以下の店舗や事務所・オフィスビル・ガソリンスタンド等が建てられる為、日常の生活に必要とされる利便施設の立地が認められている地域と言える。

  • 第二種低層住居専用地域

住居系の用途地域の1つで、主に低層住宅のための地域として分けられたエリアの事。 建物の高さが10m、もしくは12mに制限されており(絶対高さ制限)、建ぺい率・容積率などの制限内容が非常に厳しい点において第一種低層住居専用地域とほぼ同じだが、床面積150㎡以内の2階建までの店舗や飲食店(コンビニエンスストアなど)が建てられるという点が異なる。

  • 第二種特定有害物質

土壌汚染対策法において、人の健康に被害を生ずる恐れが大きいものとして指定された26種類の特定有害物質のうち、重金属等に該当する9種類の物質のこと。
この第二種特定有害物質については、土壌汚染状況調査を実施するに当たっては、土壌溶出量調査および土壌含有量調査を実施することとされている。
第二種特定有害物質は具体的には次の9種類である。
1.カドミウムおよびその化合物
2.六価クロム化合物
3.水銀およびその化合物
4.鉛およびその化合物
5.砒素およびその化合物
6.シアン化合物
7.セレンおよびその化合物
8.フッ素およびその化合物
9.ホウ素およびその化合物
自然界に存在する有用物質であり、板金・塗装で使用される剥離剤や塗料に含まれている。

  • 代理

宅地建物取引業者が、土地や建物などの不動産取引を行う際の関わり方・立場を示す「取引態様」の1つ。 売主・貸主から代理権を与えられた不動産会社が、売主に代わって販売・募集から契約までの業務を行うこと。 代理権を持つ不動産会社との間で結んだ契約は法的にも売主との契約を行ったことと同等に扱われる。

  • ダウンライト

天井に埋め込む形で取り付ける照明器具のこと。天井に埋め込むので凹凸ができないのが特徴。 メイン照明というよりも、小型で主に補助的な照明として使用される。

  • 高床式倉庫

倉庫の床面が敷地面より高い位置にある倉庫のこと。 倉庫の床面を配送・運搬車両の荷台と同じ高さにすることで、荷物の積み下ろしがスムーズに行うことが出来たり、フォークリフトなどを使わずに作業を直接人の手で行うことが出来る。 また、荷物を地面から高い位置に収納するため埃や湿気の影響を受けにくく、商品の品質管理もしやすい。 大雨などによる浸水被害も受けにくい為、付加価値の高い商品や衛生面を重視する商品を扱い場合に適していると考えられる。

  • 宅地建物取引業

宅建業を営むには、国土交通大臣または都道府県知事から免許を交付される必要があり、かつ専任の宅地建物取引士を常駐させる必要がある。
宅地建物取引業は、同法により次の業務を行うものとされる。
宅地・建物の売買または交換
宅地・建物の売買、交換または賃借の代理
宅地・建物の売買、交換または賃借の媒介
宅地・建物の賃借は除外されている為、自らが借主となり賃貸ビル・駐車場等を不特定多数の者に反復継続的に貸す行為は、宅地建物取引業の免許が無くても行うことが出来る。

  • 宅地建物取引業保証協会

宅地建物取引業者を社員とし、国土交通大臣の指定を受けた公益社団法人のこと。
社員の宅地建物取引業に係る取引に関する苦情の解決、取引により生じた債権の弁済等が主な業務内容である。
2022年現在、(公社)全国宅地建物取引業保証協会と(公社)不動産保証協会が指定されている。
それぞれのロゴマークから「ハトマーク」「ウサギマーク」として親しまれている。
加入する宅建業者は、営業保証金の供託に代えて、一定額の弁済業務保証金分担金を納付することと されている。
社員である宅建業者と取引した者は、取引により生じた債権に関し、保証協会の認証を受けた額の弁済を受けることができることとなっている。
また、保証協会は、この弁済業務のほか、取引の苦情、紛争の相談や宅建業に従事する者に対する研修等も行っている。

  • 宅地建物取引士

宅地建物土地や建物など不動産の取引に関する実務および法律上の専門知識を持ち、公正な取引が行われるようチェックする国家資格者のこと。
省略して宅建士ともいう。
業務独占資格であり、不動産取引における重要事項の説明や、重要事項説明書への記名・押印、契約書への記名・押印ができるのは宅地建物取引士に限られる。
その為、宅地建物取引業・不動産業を営むときは、ひとつの事務所において「業務に従事する者」5人につき1人以上の割合で、専任の宅地建物取引士を設置することが義務付けられている。

  • 宅地建物取引士証

宅地建物取引士資格試験に合格し、都道府県知事の登録を受けた者に交付される証明書。
有効期間は5年であり、申請により更新することができる(宅地建物取引業法第22条の3)。

  • 宅地建物取引主任者

宅地建物取引士の旧称。2015年の法改正により、宅地建物取引主任者から宅地建物取引士へと名称が変更された。

  • 宅建業者

宅地建物取引業者の略称のこと。

  • 宅建業法

宅地建物取引業法の略称のこと。

  • 地勢

土地のありさまのこと。 土地の高低や傾き、地質など土地そのものの状態を指したり、山や川の配置、海に面しているなどの環境面も包括するなど、幅広く使われている。

  • 仲介

一般的には、当事者の間に入って便宜を図ったり尽力することで、不動産取引では、売主(貸主)と買主(借主)の間に立って契約行為の締結に尽力する行為を「仲介」という。 
物件の販売活動(広告等)、契約条件の調整、契約書類の作成、重要事項説明、契約から引き渡しまでの事務手続きが主な内容である。 
宅建業法等の法令では「媒介」と言う。 
宅建業者が行う不動産広告では取引態様の明示として「媒介」もしくは「仲介」と記載される。 
売主(貸主)が不動産会社に仲介を依頼する場合、「一般」「専任」「専属専任」の3つの媒介契約の種類があり、成約時に「仲介手数料」が必要となる。

  • 賃借権

賃貸借契約に基づく貸借人(借主)の権利の事。簡単にまとめると、賃料を支払って借りた物を使用することが出来る権利の事。 賃貸借契約は双務契約である為、借主は契約の範囲で目的物を使用し収益できる一方、貸主に賃料を支払わなければならない。 不動産賃貸借権にあっては借地借家法によりその権利が強化されており、不動産賃借権は第三者に対抗することができ、判例上、妨害排除請求権も認められ、物権化している。 しかし、賃借権は、契約に基づく債権で当事者間の信頼関係が重視される点から、賃貸人の承諾がないと、譲渡し、又は転貸できない点で物権と異なる。

  • 賃貸借

AがBに目的物を使用収益させ、BがAに賃料を支払う契約をいう(民法601条)。
不動産の賃貸借の場合、通常は長期の契約期間を必要とし、その間の居住の安定を確保する為、民法の一般原則をそのまま適用せず、特例として、借地借家法により以下の規定が適用される。
①契約期間を延長し借地については最低30年とする
②契約の更新を拒絶するには正当事由を必要とする
③裁判所の許可による賃借権の譲渡を可能にする
④登記がない場合にも一定の要件のもとで対抗力を認める
なお、契約期間等については定期借地権など特別の契約について例外がある。

  • 定期借地権

平成4年8月1日より施行された借地借家法で新たに創設された制度。
予め期間を定めて契約を行い、借地の契約期間満了後は確定的に終了となる借地契約の事であり、更新ができないのが特徴。
定期借地権は以下の3つに区分される。
(1)存続期間を50年以上と定めることを要件とする「定期借地権」(一般定期借地権)(同法22条) 
(2)借地権を設定した日から30年以上を経過した日に借地上の建物を借地人から地主に譲渡することをあらかじめ約束して借地をする「建物譲渡特約付借地権」(同法23条)
(3)事業目的で存続期間を10年から20年以下とする「事業用借地権」(同法24条)
従前の借地法では、借地人強い保護が与えられており、存続期間が満了しても、正当事由が無ければ借地権は消滅するわけでは無かった。
この定期借地権制度が利用されることによって土地を貸しやすく借りやすくなり、借地の新規供給、利用の幅が広がることが期待されている。

  • 定期建物賃貸借(定期借家)

契約で定めた期間の満了により、更新されることなく確定的に賃貸借が終了する建物賃貸借をいう。 平成12年3月1日から改正施行された借地借家法38条で創設された。 定期借家と呼ばれることも多い。 建物の賃貸借を定期建物賃貸借とする場合は、公正証書等の書面による契約をすること及び賃貸人は賃借人に対し契約書とは別の書面によりあらかじめ「更新がなく、期間の満了とともに契約が終了する」旨を説明することが要件となる。 賃貸借期間が1年以上の定期建物賃貸借契約においては、期間満了の1年前から6カ月前までの間に賃貸人から貸借人に対し期間満了による賃貸借の終了を通知する必要がある(正当事由は不要)。 契約の更新という概念は発生しないが、定期借家契約期間満了時に賃貸人と賃借人双方で合意すれぱ、改めて賃貸借の再契約をすることは可能である。

  • 抵当権

銀行や金融機関が土地や建物などの不動産を担保にする権利のこと。 
抵当権は登記簿の権利部の乙区欄に設定され、対象となった不動産は「抵当物件」と呼ばれる。 
主に住宅ローン等の借り入れ時に購入した不動産に設定され、借入返済が滞った際には不動産を競売にかけて売却し、売却代金を返済に強制的に充当される。 
抵当物件をそのまま売買するケースは稀で、契約前に抵当権の抹消処理を行うのが通常。 
抵当権が設定されている場合は、重要事項の説明時にも「登記簿に抵当権が設定されている旨」と「抵当権が実行された場合」について説明がおこなわれる。

  • 低床式倉庫

高床式倉庫とは逆に、倉庫の床面と周辺道路や敷地が同じ高さになるように設計された倉庫。 段差がない為、トラックやフォークリフト車両がそのまま出入り出来るという利点があり、倉庫を建築する際には高床式よりもコストが抑えた上で床荷重もより高く設定できるのが特徴。 しかし、立地によっては大雨時に雨水が倉庫内に侵入する可能性がある為、排水設備の見直しや、浸水予防対策・復旧対策の導入が必要になる事もある。

  • 手数料

「手数料」には様々な用例があるが、不動産取引において単に「手数料」と言われる場合には、通常、宅建業者が収受する媒介報酬の事を指す。
なお、法令用語としては、国等が他人のために行う公務に関して徴収する料金をいい、宅建業法では宅建業者の免許・免許更新、取引主任者の登録・登録移転、取引主任考証の交付・更新についての手数料徴収を規定している。

  • 手付

売買契約を交わす時に、当事者の一方から相手方に対して交付される金銭その他の有価物をいう。
手付の額は、当事者の合意により定めるものだが、一般には売買代金に対し、10%~20%以内となっている。
なお、宅建業者が売主の場合、受領できる手付金の額は売買代金の20%以内と宅建業法で定められている。
手付には以下の3つの意味合いがある。
①証約手付
 契約の成立を証するもので、売買契約時に買主が売主に支払う。
②解約手付
 契約を解除することを認めるもので、買主は手付金を放棄し、また売主は手付金の2倍の金額を買主に支払う。
③違約手付
 買主か売主のどちらかに債務不履行があった場合の損害賠償額の予定又は違約罰とするもの。

  • 手付金等

宅地建物取引業法第41条第1項で定められる、売買契約の締結から宅地建物の引渡し前の間に支払われる手付金などの金銭で、最終的に代金の一部になる金銭のこと。 
宅地建物取引業法(第41条・第41条の2)では、この手付金等を、第三者が保管するなどの方法で保全するように定めている。 
これは、売主が物件を引き渡せないなどの不測の事態が生じた場合に、手付金等が確実に買主に返還されるようにする目的で創設された制度である。

  • 鉄骨造

梁や柱などの骨組みに鉄骨を用いた鉄骨造の建物のこと。 構造欄にはSteel(スチール)の頭文字を取って「S造」と書かれることがある。 鉄筋コンクリート造(RC造)や鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)よりも工期が短めで、坪単価当たりの建築費も安く済むメリットがある。使用する鋼材の厚さにより、「重量鉄骨造」と「軽量鉄骨造」の2種類に分けられる。

  • 田園住居地域

住居系の用途地域の1つで、農業と調和した低層住宅の環境を守るための地域として分けられたエリアの事。 2018年4月に新しく導入された地域で、生産緑地の宅地化を防ぎ、都市部の貴重な農地を今後も保全するための地域と言える。 田園住居地域内の農地について、土地の形質の変更・建築物及び工作物の建設・駐車場や資材置き場等としての利用を行おうとする場合は市区町村の許可が必要となる。 建物の制限的には第一種低層住居専用地域・第二種低層住居専用地域に近く、高さが10m、もしくは12mに制限されており(絶対高さ制限)、床面積150㎡以内の2階建までの店舗や飲食店(コンビニエンスストアなど)は建てられる。 加えて床面積500㎡以内の2階建てまでの農業用施設(田園住居地域及びその周辺の地域で生産された農産物販売所、それを材料にした料理の提供をする飲食店や、この地域の農産物を原材料に食品の製造・加工する店舗や、農機具収納施設など)が建てられることが大きな特徴。

  • 転貸借

賃借人Bが、賃貸人Aから借りた物を第三者Cに使用収益させることをいい、いわゆる「また貸し」にあたる行為のこと。 
賃借権の譲渡は転貸借に含まず、AB間の賃貸借関係は残る。 
BがCに転貸するためにはAの承諾を必要とする。 
これに反して転貸すると、Aは目的物の所有権に基づいてCにその引(明)渡しを求めることができるし、Bに対しては賃貸借契約を解除することができる(民法612条)。 
逆にAの承諾を得た転貸では、AはCに対しても、直接賃料の請求をすることができることになる(民法613条)。 
ただし、目的物が宅地建物である場合には、転貸借に関して以下のような特別の取扱いがされている。 
1.承諾がない場合であっても当事者間の信頼関係が壊されない限りAの契約解除を許さない(判例による) 
2.借地の転貸借について、裁判所がAの承諾に代わって許可を与えることができる(借地借家法19条1項) 
3.Aが承諾しない場合、Bに対して建物買取請求権、造作買取請求権を与える

  • 登記事項全部証明書

登記記録の内容を記載した書類の事で、コンピュータで処理したデータを専用用紙に印刷した物。
1989年(平成元年)商業登記法の改正以降、全国の役所において登記簿のデータ化が進み、記載された内容は「登記記録」となって電子データで保管されるようになり、登記簿原本を転写することが無くなったことから、登記事項証明書という名称に変更された。
「登記簿謄本」という呼び方がまだ一般的ではあるが、正確な名称は「登記事項証明書」の方であり、内容自体に変わりはない。
登記事項証明書には以下の5種類がある。
①全部事項証明書
 その不動産の登記から現在までの所有権や抵当権などの記録がすべて記載された証明書で、閉鎖事項証明書以外の3種の証明書の内容も含む。
②現在事項証明書
 不動産登記記録のうち、現状の登記事項のみが記載された証明書で、すでに抹消された抵当権や以前の所有者が誰かなどについては記載が無い。
③一部事項証明書
 登記記録の一部のみが記載されたもので、マンションのような区分所有者が多い場合は、必要な部分だけを記載している一部事項証明書が適している。
④閉鎖事項証明書
 合筆(2つの土地を1つの土地にすること)などの場合に登記する閉鎖登記簿の登記情報を記載したもので、閉鎖登記情報は全部事項証明書にも記載されていない。
⑤登記事項要約書
 現在効力のある事項のみが記載されている書類という意味では現在事項証明書と似通っていますが、「証明書」として使うことはできない。

  • 登記簿

法上の権利の得喪・変更など関係事実の存在を公示かつ保護するため、一定の事項を記載した公の帳簿の事。登記所に保管されている。 
会社に関する一定の情報が載っている「商業登記簿」、不動産に関する一定の情報が載っている「不動産登記簿」等がある。 
不動産登記簿では土地と建物に分けられ、表題部と権利部(甲区と乙区)から成り立っている。(平成17年施行の改正不動産登記法により甲区と乙区をまとめて権利部と呼ぶ) 
不動産の物理的状況を示す表題部では、土地登記簿の場合、所在地の地番、地目、地積などが、建物登記簿の場合、家屋番号、構造、床面積などが記載されている。 
また、甲区には所有権に関する事項が、乙区には所有権以外の権利(抵当権など)が記載されている。

  • 登記簿謄本

登記記録の内容を記載した書類のことで、登記記録が記載された登記用紙を複写したものを指す。 
情報を紙で管理していた時代には登記証明書を取得する際に原本の写しを交付していたため、謄本(原本を転写した文書)と呼ばれていた。 
登記情報が紙で処理されていた時代に使われていたもので、現在は言葉だけが残っているというのが実態である。 
現状は、登記事務をコンピュータで処理していない登記所で登記事項を直接登記用紙に記載している場合、その用紙を複写・証明したものを登記簿謄本として交付している。 
登記情報が電子化され、そのデータを印刷したものを登記事項証明書という。

  • 特殊建築物

建築基準法2条1項二号に規定される建築物であり、特殊な用途をもち周囲の環境に影響を与えるとみなされることから、利用者の安全を担保する必要がある建築物のこと。
例として多数の人が集う建築物(映画館など)や衛生上・防火上特に規制すべき建築物 (汚物処理場など)などが該当する。
建築基準法では、こうした建築物については、特に厳しい規制を設けている。
具体的には次の用途の建築物が「特殊建築物」である(建築基準法別表第1による)。
1.劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場
2.病院、診療所、ホテル、旅館、下宿、共同住宅、寄宿舎など
3.学校、体育館、博物館、図書館、ボーリング場、スケート場など
4.百貨店、マーケット、展示場、ダンスホール、キャバレー、料理店、飲食店、遊技場、公衆浴場など
5.倉庫
6.自動車車庫、自動車修理工場、映画スタジオ
さらに上記の1.から6.だけでなく、危険物貯蔵場、と畜場、火葬場、汚物処理場なども特殊建築物に含める場合がある(建築基準法2条2号)。

  • 特定道路

建築基準法の容積率に関する規定において、幅員15メートル以上の道路のこと。 
幅員6メートル以上12メートル未満の前面道路が、延長70メートル以内の部分において特定道路に接続する場合に、特定道路までの距離に応じて前面道路の幅員加算が行われる(建築基準法52条8項)。

  • 都計法

都市計画法の略称

  • 都市計画

都市の将来あるべき姿(人口、土地の利用方法、主要施設等)を想定し、そのために必要な規制、誘導、整備を行い、都市を適正に発展させようとする方法や手段の事で都市計画法の規定により定められたものをいう。 
都市計画は、都道府県又は市町村が定め(都市計画法15条1項~4項)、その範囲を都市計画区域という。 
都市計画が決定されるとその効果として、都市計画の対象区域は一定の建築行為等が規制されることとなる。

  • 都市計画法

都市計画法とは、都市の健全な発展と秩序ある整備を図ることによって、国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与することを目的に、1968年(昭和43年)に制定された法律(施行は1969年[昭和44年])。 
都市計画法では、「都市計画を、都市の健全な発展と秩序ある整備を図るための『土地利用』、道路や公園、水道、学校等の『都市施設の整備』および『市街地開発事業』に関する計画」と定義している。 
また、都市計画は、都道府県が指定した「都市計画区域」に定めるものとし、都市計画の決定手続き、市街化区域・市街化調整区域、用途地域等の指定、都市計画事業の認可や施行、開発許可制度などの都市計画制限などについて定めている。

  • ドッグレベラー

工場や物流センターなどで積み降ろし作業をする際、建物の搬出入口の床面(プラットフォーム)と、コンテナやトラックの荷台に生じる段差、高低差を無くすための装置のことを指す。 ドックレベラーを用いることにより、フォークリフトや台車での積み下ろしが容易になり、破損防止だけでなく荷役作業の生産性が向上する。

  • 徒歩所要時間の表示

不動産広告で徒歩での距離又は所要時間について表示をするときは、不動産の表示に関する公正競争規約15条により、道路距離80メートルにつき1分を要するものとして算出し、1分未満の端数についでは1分に切り上げることとしている。 
これは直線距離で無く、道路に沿って測定した距離(道路距離)を元にし、坂道、歩道陸橋は考慮されず、信号の待ち時間も含まれない。

  • トラックバース

倉庫や物流センターにおいて、荷物の積み下ろしをするためトラックを駐停車しておくスペースのこと。

  • 取引態様の明示

取引態様とは、不動産取引における宅建業者の関与の仕方の事を言い、以下の3種類がある。
①売主または貸主
 宅建業者が売買または賃貸される不動産の直接の所有者で契約の当事者となる場合。
②代理
 宅建業者が売主・貸主または買主・借主の代理人となって取引を成立させる場合。
③媒介(仲介)
 宅建業者が売主・貸主または買主・借主の間に入り、契約が円滑に進むよう取引する場合。
宅建業者は、宅地又は建物の売買、交換又は貸借に関する広告をするとき、及び注文を受けたときは、次のいずれの立場であるかを明らかにしなければならない(宅建業法34条)。
これを明示する必要があるのは、取引態様のいかんにより法律上の効果や報酬の額が異なり、注文者の利害にかかわる重要事項だからである。
なお、取引の途中で取引態様が変わったときも、遅滞なく明示し直さなければならず、違反した業者は業務停止処分(情状が特に重い場合には免許取消処分)となる。