倉庫と物置の違いは?メリット・デメリットや選ぶポイントも解説

「倉庫と物置ってどう違うの?」

「どちらを選べばいいのかわからない…」

新しく収納スペースを検討していると、このような疑問を抱く方は多いのではないでしょうか。

倉庫と物置はどちらも収納を目的とした設備ですが、使い方や設置目的によって適した選択肢が変わります。

今回の記事では、倉庫と物置の違いを分かりやすく解説し、それぞれのメリット・デメリット、さらに選ぶ際の判断ポイントについてもご紹介します。

どちらがあなたのニーズに合っているのか、この記事を参考にぜひチェックしてみてください。

<この記事で紹介するポイント>

・倉庫と物置のおおまかな違い

・倉庫と物置の具体的な違い       

・倉庫を導入するメリットとデメリット

倉庫と物置のおおまかな違い

倉庫と物置のおおまかな違いを順に解説します。

倉庫

倉庫とは、企業や商業施設などが物資や商品を保管するために設ける建築物です。例えば、物流センターや工場に併設された大型の保管施設が該当します。

規模は比較的大きく、鉄骨やコンクリートなどを用いた頑丈な造りであることが一般的です。法律上、不動産登記規則第113条に基づく12種類の建築物として明確に分類されており、建築確認申請も単体で行われる場合がほとんどです。そのため、主に事業用として活用されるケースが目立ちます。

物置

物置は、一般家庭や小規模な店舗などで、日常の雑貨や季節用品などを保管するために設置される簡易的な建物です。庭や駐車場の片隅に設ける小さな収納小屋が該当します。倉庫よりも規模が小さく、簡易な素材で組み立てられることが特徴的です。

法律的には、不動産登記事務取扱手続準則第80条で規定された25種類の建物の一つで、主たる建物(自宅など)の付属施設として扱われることが多くなっています。また、建築確認申請も主な建物に付随するものとして、申請されることが一般的です。

倉庫と物置の具体的な違い

倉庫と物置の具体的な違いを順に見ていきましょう。H3:サイズ・収容力

倉庫は物流拠点や工業地帯などで利用されるため、大量の商品や大型の機械設備を収納できる規模を備えています。例えば、配送センターの倉庫はトラックやフォークリフトが出入りできるように高さや出入口の幅が十分確保されています。

一方で物置は一般家庭や小規模店舗向けに設計されているため、家具や園芸用品、季節のアイテムを手作業で収納できる程度の大きさに留まっています。そのため、大きな荷物を出し入れする設備や設計は施されておらず、収納スペースとしても限定的です。

設置場所・建築基準

倉庫は主に工業地域や物流施設など都市計画法によって定められた区域に設置され、建築確認申請を伴う厳格な建築基準法の規制下に置かれます。例えば、防火設備や構造耐力についても詳細な審査が必要で、耐火性能に優れた資材で建設する義務があります。

物置の場合は住宅地の庭先や個人敷地内に簡易に設置されることが多く、建築基準法の適用条件も倉庫ほど厳しくありません。そのため、住宅の敷地内に小型の物置を設置する際、建築確認申請が不要になることも多くあります。

コスト

倉庫の建築には資材や工事費用が多く必要で、特に基礎工事や構造強度を確保するための設備費が高額になります。さらに、倉庫は運営に伴う光熱費や定期的な設備点検費用も必要になるため、ランニングコストも高くなります。

物置は簡易的な設計で工事も比較的容易であり、価格帯も数万円程度からと購入コストを抑えられます。具体例として市販の物置キットを購入し、DIYで設置を済ませることも可能です。

耐久性・セキュリティ

倉庫は長期間の使用や重量物の保管を前提としているため、鉄骨造や鉄筋コンクリート造など、頑丈で耐久性に優れた構造が一般的です。また、商業的価値が高い製品や在庫を守るため、監視カメラやセンサー式の警備装置など高度な防犯設備が備わっています。

物置はアルミ製や樹脂製など軽量の素材で作られているため、倉庫ほどの耐久性や強度は期待できません。防犯面でもシンプルな鍵や簡易ロックが標準的で、盗難防止策は限られています。

倉庫を導入するメリットとデメリット

倉庫を導入するメリットとデメリットをそれぞれ解説します。

メリット

倉庫を導入することで大量の商品や大型機械をまとめて管理できるため、物流業務や在庫管理の効率性が高まります。物流センターであれば、トラックから直接荷下ろしを行い、そのままスムーズに在庫整理ができるので、作業の手間や時間が削減されます。

また、防犯システムや耐火性に優れた構造を備えているため、貴重品や長期保管が必要な製品を安全に保管可能です。さらに、倉庫内のスペースを加工やピッキング作業の場として利用できるため、業種に応じて自由にレイアウトを変更し、効率的な運用が可能となります。

デメリット

一方で、倉庫を導入する際には建築費用や維持管理費などが高額であるため、初期投資や運用コストが負担となることがあります。例えば、倉庫の大きさや防火基準によって建設費用が大きく変動し、さらに定期的な点検や設備メンテナンス費用も発生します。

また、倉庫は建築基準法や都市計画に基づいた規制を受けるため、工業地帯や指定された物流地域など、設置できる場所が限られるという課題もあります。加えて、倉庫の運営や建設には専門知識や各種許認可の手続きが求められ、物置と比べると導入の手続きが煩雑になりやすい点にも注意しましょう。

物置を導入するメリットとデメリット            

物置を導入するメリットとデメリットについても解説します。

メリット

物置は手軽に設置できることが最大の利点であり、安価に収納場所を確保したい方には適しています。例えば、自宅の庭先や駐車スペースの空き部分にコンパクトな物置を設置し、園芸用品や日用品の収納スペースを手軽に増やすことが可能です。

また、物置のサイズは比較的小さいため、住宅密集地や狭小地にも柔軟に対応でき、設置場所を選びません。さらに、簡易的な構造の製品が多く、DIYで組み立てられるタイプもあるため、専門業者に依頼する必要もなく導入コストを節約できます。

デメリット

一方、物置は倉庫と比べて耐久性や防犯性能が低いため、高価なものや重要書類など貴重品の保管には適しません。例えば、軽量なアルミや樹脂製の物置は外部からの侵入を防ぐことが難しく、盗難のリスクが高まります。

また、物置はサイズが小さいため大量の荷物や大型の家具などを収納するには不十分であり、あくまで日用品や季節用品の収納向きです。さらに、通気性の面で劣るため、湿気が溜まりやすく、長期間の使用では内部の物品にカビや結露による劣化が生じる可能性があります。

物置と倉庫のどちらを選ぶべき?選ぶポイントを徹底解説

物置と倉庫のどちらを選ぶべきなのか、以下の観点で解説します。

ビジネス規模

大規模な物流センターや工場など、取扱量が多いビジネスでは収容力に余裕がある倉庫を選ぶと効率的です。例えば、通販業務が拡大して荷物が増えれば倉庫は拡張性が高く対応しやすくなります。

個人事業主や小規模な店舗では、初期費用や維持管理費を考慮すると、コンパクトな物置で十分に目的を果たせる場合があります。家庭内や小規模なショップでの商品保管のように収納量が限定的であれば、物置を選ぶほうが経済的にも適しています。

取扱商品

高価な製品や精密機械など、保管条件が厳しい場合には、防犯性や気密性が高く管理が徹底されている倉庫が適しています。例えば、電子機器や食品のような温度管理や防犯体制が求められる場合は、倉庫での管理が必要です。

一方、園芸用品や季節物など比較的安価で簡易な管理で十分な商品は、物置が最適でしょう。また、大型家具や重量物を取り扱う際には倉庫が適していますが、細々とした生活用品の短期的な収納であれば物置で十分に対応できます。

ランニングコスト

倉庫を運用する場合、電気代や空調設備、定期メンテナンスなどの維持管理費が必要となり、収益性を慎重に検討することが重要です。例えば、大規模物流センターでは月々の光熱費や設備保守費が高額になるため、投資対効果の検討が必須です。

物置は初期費用や維持管理費が倉庫よりも低いため、小規模なビジネスや家庭内で低コスト運用が求められる場面に適しています。一時的に荷物を収納したい場合や、予算が限られている個人事業主には物置が有利です。

セキュリティ性

倉庫は監視カメラや電子ロック付きのゲートを設置できるなど、防犯面が強化されており、貴重品や重要書類の保管に向いています。例えば、倉庫を利用する物流会社では、24時間体制で警備会社と連携した監視を行うことも一般的です。

物置の場合、基本的に鍵のみで施錠する簡易的な防犯措置が多く、高価な製品や盗難リスクの高い物品を保管するには適していません。利便性を重視するか、防犯性を最優先するか、保管したい商品の重要度に合わせて選択することが重要です。

倉庫・物置をビジネス活用する際の注意点

倉庫・物置をビジネス活用する際の注意点として、以下を解説します。

地方自治体に相談する

選定した物件について、地方自治体へ事前相談を行うことも必要です。自治体の規制に基づき、用途地域の確認や防火基準への適合が求められ、場合によっては追加の許可申請や書類提出も必要になることがあります。

また、騒音や交通量など地域住民への影響についても検討し、必要に応じて説明会を開催するなどの対応が求められる場合もあります。自治体の指導に従い、規制を遵守した物件運用が可能か確認しましょう。

物件を取得する

物件の選定が完了したら購入や賃貸契約を締結し、必要な改修工事を実施して基準を満たすよう整備します。改修工事に関しては専門業者と協力し、効率的なレイアウトや最新の設備導入を検討し、業務効率の向上を図ります。

賃貸契約であれば、長期運用を考慮した計画を立て、設備導入や修繕も事前に済ませることがポイントです。施設基準を満たした段階で申請へ進む準備が整います。

登録申請書を提出する

必要書類を整えたうえで、所定の様式に基づいた登録申請書を国土交通省または地方自治体に提出します。提出前に書類の不備を確認し、申請期限を守ることが大切です。

申請後は審査が行われ、状況によっては追加書類の提出が求められる場合もあります。また、申請手数料の支払い方法や期限についても事前に確認し、適切に対応しましょう。

登録の通知を待つ

申請審査が完了すると、正式な登録の通知が届きます。通知が届くまでは倉庫業の営業を開始できないため、待機期間中に追加手続きがないかも確認しておきましょう。

通知を受け取った後、正式に倉庫業を開始でき、必要に応じて定期的な更新手続きも行う必要があります。また、営業開始後も法令遵守や安全管理に努め、適切な業務運営を継続することが重要です。

物置と倉庫のどちらを選ぶべき?選ぶポイントを徹底解説

倉庫業の登録後に必要な手続きとして、以下の3つがあります。

  1. 1.期末倉庫使用状況報告
  2. 2.受寄物入出庫高報告及び保管残高報告
  3. 3.そのほかの手続き

手続きの詳細について、解説します。

期末倉庫使用状況報告

倉庫業登録後は、四半期ごとに倉庫の使用状況を報告する義務があります。期末倉庫使用状況報告には、倉庫の利用状況や空きスペースの割合が含まれており、倉庫の稼働状況を把握するための正確なデータが求められます。

報告書は営業所ごと、かつ倉庫が所在する都道府県別に作成し、所管面積や在貨面積などの詳細を記載する必要があります。

国土交通省の監督下で行うため、報告内容は正確であることが重要です。報告の遅延や不備は行政指導の対象となる可能性があるため、期限内の提出を行いましょう。

受寄物入出庫高報告及び保管残高報告

四半期ごとに、倉庫で受け入れた物品の入出庫高や保管残高の報告も必要です。倉庫での保管状況が正確に記録され、これらのデータが報告書に反映されることで、業務の健全性が保たれます。

報告は営業所ごと、かつ倉庫が所在する都道府県別に、一~三類倉庫、野積倉庫、貯蔵槽倉庫、危険品倉庫、水面倉庫、冷蔵倉庫に分けて作成し、品目分類に従って詳細を記載します。

不正や虚偽の報告を行うと、行政処分や罰金が科せられる可能性があるため、正確な記録と報告が不可欠です。また、報告内容は業務改善や経営戦略の立案にも活用できるため、日常的なデータ管理の徹底が求められます。

そのほかの手続き

倉庫を増改築する際や主要設備に変更があった場合には、追加の届け出が必要です。また、倉庫管理主任者や法人役員に変更が生じた際にも報告義務があります。

さらに、法令変更や新たな規制が発生した際には、それに応じた手続きや対応が求められますので、常に最新の情報を確認し、適切な手続きを行いましょう。

倉庫・物置をビジネス活用する際の注意点

倉庫・物置をビジネス活用する際の注意点についても、見てみましょう。

法令や規制の確認を怠らない

倉庫や物置を活用する際は、建築基準法や都市計画法などの法令をクリアする必要があります。特に倉庫は、建築基準法の用途規制や耐火基準を満たすことが求められ、地域によっては都市計画法の制限を受ける場合もあります。

物置に関しても、設置する地域や規模によって建築許可が必要になることがあるため、事前に確認が必要です。さらに、消防法による防火対策や衛生管理基準にも注意し、適切な環境を整えなければなりません。

万が一、規制違反が発覚すると罰則や運用停止のリスクがあるため、専門家に相談しながら準備を進めることが重要です。

在庫管理や動線設計を明確にする

倉庫を効率的に運用するためには、在庫の配置をシステム化し、管理を徹底することが求められます。適切な管理システムを導入することで、在庫の過不足を防ぎ、作業の効率化につながります。

また、倉庫内の動線を考慮したレイアウトを設計し、作業者の負担を軽減することも重要です。物置を活用する場合も、必要なものをすぐに取り出せる収納方法を採用し、無駄なスペースを削減すると利便性が向上します。

定期的な棚卸しや在庫チェックを行い、無駄を省くことで効率的な運用が実現できます。

湿気や温度管理への対策を考える

倉庫での保管環境を最適化するためには、温度や湿度の管理が欠かせません。空調設備や除湿機を導入し、一定の環境を維持することで、商品や資材の劣化を防げます。

物置を利用する場合も、除湿剤や断熱材を活用し、湿気や結露対策を施すことが大切です。特に食品や紙製品など、湿気に弱い商品を扱う場合は、適切な温湿度管理を徹底する必要があります。

長期間の保管を予定している場合は、定期的に環境をチェックし、劣化のリスクを最小限に抑えることが求められます。

倉庫ビジネスをご検討であれば流通アシストネットワーク株式会社にご相談ください

倉庫と物置は、サイズ・収容力、設置場所・建築基準、コストなどさまざまな部分で違いがあります。今回の記事では、違いや注意点などを分かりやすくまとめているので、自社のビジネス用途に合った方を選びましょう。

流通アシストネットワーク株式会社では、各企業のニーズに合わせた倉庫ビジネスを提案し、安心して業務を進められる環境を整えるお手伝いをいたします。倉庫ビジネスをこれから始めたいとお考えの際は、ぜひ流通アシストネットワーク株式会社にご相談ください。

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