【アンケート調査】貸倉庫に関わる市場調査

当社では、貸倉庫サービスの品質向上と市場ニーズの把握を目的として、貸倉庫利用者を対象とした市場調査を実施いたしました。本調査では約100名の利用者から回答を得て、業種別の利用状況から安全性に関する認識まで、幅広い視点から分析を行いました。本記事では、その調査結果の概要をご報告いたします。

【調査概要】 調査目的: 貸倉庫の利用実態と安全性に関する現状把握 調査対象: 当社貸倉庫サービス利用者 回答者数: 約100名 調査期間: 2025年2月 調査方法: オンラインアンケート

調査結果①倉庫利用者の業種について

この結果から、貸倉庫の主要な利用者層は製造業と小売業であることが分かります。これらの業種は在庫管理や商品保管のニーズが高いことが背景にあると考えられます。物流・運送業や建設業も一定数あり、これらの業種も資材や機材の保管などで倉庫需要があることが示されています。

幅広い業種にわたって利用されていることから、貸倉庫サービスが様々なビジネスにとって重要なインフラとなっていることも読み取れます。

調査結果②倉庫を利用している主な理由について

主な倉庫利用目的としては「商品・在庫の保管」が圧倒的に多く、全体の約48%を占めています。これは多くの企業が倉庫を商品や在庫の保管場所として最も重視していることを示しています。

次に多いのは「設備・資材の保管」の約27%、「業務の作業スペースとして活用」の約20%、「一時的なストック置き場としての利用」の約21%と続いています。また「書類・データの保管」も約23%と一定の需要があります。

「その他」の回答では「タイヤ預かり」が具体的に挙げられており、季節商品や特定業種に特化した利用方法もあることが分かります。

この結果から、倉庫の利用目的は単なる物品保管だけでなく、作業スペースとしての活用や一時的な保管など多様化していることが読み取れます。また、デジタル化が進む中でも書類やデータの物理的な保管ニーズが依然として存在することも示されています。

倉庫事業者は、これらの多様なニーズに対応できる柔軟なサービス提供が求められていると考えられます。

調査結果③現在利用中の倉庫を選んだ理由について

倉庫選定の理由としては、「立地が良かった」が約40%、「賃料が手頃だった」が39%と特に重視されており、ほぼ同等の重要性を持っていることが分かります。これは倉庫選びにおいて、アクセスの良さとコスト効率が最優先事項であることを示しています。

次に重視されているのは「広さやレイアウトが希望に合っていた」(約24%)、「設備・機能が充実していた」(約16%)の2点です。実際の利用ニーズに合った物理的な条件も重要な選定基準となっています。

また、「会社の取引先が利用していた」という理由も約12%あり、ビジネスネットワークや信頼性も選定に影響していることが分かります。「契約条件が柔軟だった」は約9%と比較的少数ですが、一部の利用者にとっては重要な要素となっています。

「その他」では「自前で持っている」という回答があり、自社所有の倉庫を活用しているケースも含まれていることが分かります。

この結果から、倉庫事業者は優れた立地と競争力のある賃料設定を最優先事項として検討すべきであり、同時に多様なニーズに応えられる広さやレイアウトの選択肢、充実した設備の提供も重要なポイントであることが読み取れます。

調査結果④倉庫導入に対する満足度について

倉庫導入の満足度に関しては、「非常に良かった」が20%、「まあまあ良かった」が35%と、全体の55%が肯定的な評価をしています。これは過半数の利用者が倉庫導入に満足していることを示しています。

「普通」という中立的な評価も29%と一定数あり、特に際立った満足や不満がない利用者も少なくないことが分かります。

一方で、「あまり良くなかった」が5%、「全く良くなかった」が7%と、否定的な評価は合計で12%となっています。全体としては少数ですが、一部の利用者には改善の余地があると感じられている点があることも示唆されています。

「その他」の回答には「土地が空いていたから」という理由が挙げられており、単に既存リソースの活用という側面もあることが読み取れます。

総合すると、倉庫導入は概ね好評価を得ているものの、約3割が中立的評価、約1割が否定的評価を示していることから、さらなるサービス向上や利用者ニーズへの対応が必要な部分があると考えられます。特に否定的な評価をした利用者の具体的な不満点を把握し、改善することが重要でしょう。

調査結果⑤倉庫の利用予定期間について

倉庫の利用予定期間については、「利用終了の予定なし」が約29%と最も多く、長期的・継続的な利用を考えている利用者が多いことが分かります。次いで「3年以上」の長期利用が約27%となっており、両者を合わせると全体の約56%が長期的な視点で倉庫を利用していることが示されています。

中期的な利用として「1~3年未満」が約22%あり、一定の期間を見据えた計画的な利用も多いことが分かります。

短期的な利用としては「6ヶ月~1年未満」が約12%、「6ヶ月未満」が約10%と、合計で全体の約22%となっています。

この結果から、多くの企業が倉庫を一時的な場所ではなく、事業運営の重要な一部として位置づけていることが示唆されています。

倉庫事業者としては、長期契約を前提としたサービス設計や料金体系が効果的である一方、短期利用のニーズにも対応できる柔軟なプランも一定の需要があることが分かります。また、多くの利用者が長期的な関係を前提としていることから、初期導入後のサポートや定期的な設備更新など、継続的な価値提供が重要であると考えられます。

調査結果⑥倉庫の主な保管物について

※複数回答可

倉庫の主な保管物については、「商品・製品」と「部品・資材」がそれぞれ約40%と同数で最も多く、この2カテゴリで全体の約60%を占めています。これは倉庫が主にビジネスの生産・流通活動に直結する物品の保管に使用されていることを示しています。

次に多いのは「文書・書類」の約21%で、デジタル化が進む現代でも物理的な文書管理の需要が依然として高いことが分かります。「食品・飲料」が約11%、「家具・備品」が約10%と続き、特殊な保管条件が必要な食品類や大型の備品類にも一定の需要があります。

「貴重品・高価な物品」は約5%と少数ですが、セキュリティが重視される保管ニーズも存在しています。「その他」の回答には具体的に「車、衣類」が挙げられており、特定の大型物品や季節性のある物品の保管ニーズもあることが分かります。

この結果から、倉庫事業者は主に商品・製品や部品・資材の保管に適した設備やセキュリティの提供が重要である一方、文書管理や特殊品の保管など多様なニーズにも対応できる体制が求められていることが読み取れます。また、保管物の種類によって温度・湿度管理や防犯対策などの要件が異なることから、用途別の特化したサービス提供も検討の余地があると考えられます。

調査結果⑦倉庫に対する改善要望について

倉庫に対する改善要望としては、「賃料の見直し」が約35%と最も多く、コスト面での課題が最優先事項となっていることが分かります。これは厳しい経済環境の中で、多くの企業がコスト削減を重視していることを反映していると考えられます。

次に多いのは「セキュリティの強化」で約32%となっており、保管物の安全性確保に対する関心の高さを示しています。「空調や温度管理設備の充実」も約27%と多く、品質管理や保存状態の適正化に対するニーズが高いことが分かります。

中間的な要望として「契約条件の柔軟性」が約17%、「立地やアクセスの改善」が約16%となっています。これらは運用面での使い勝手に関わる項目で、ビジネス環境の変化に対応できる柔軟性が求められていることを示しています。

「倉庫の清掃・衛生管理の向上」と「収納スペースの増加」がそれぞれ約13%と続き、運用環境の質と物理的なキャパシティにも一定の改善ニーズがあります。

「その他」の回答には「特になし」という意見が含まれており、現状に満足している利用者も存在することが分かります。

この結果から、倉庫事業者は価格競争力の強化とセキュリティ・温度管理などの基本的な設備の品質向上を優先すべきであることが読み取れます。同時に、契約の柔軟性や立地改善など、利便性に関わる要素も重要な差別化ポイントとなる可能性があります。利用者の多様なニーズに応えるためには、これらの要素をバランス良く改善していくことが求められているでしょう。

調査結果⑧契約倉庫数について

倉庫の契約数に関しては、1カ所のみ契約している人が全体の約48%を占めています。これは約半数の利用者が単一の倉庫で運営を行っていることを示しています。次に多いのは2カ所の契約で約24%、3カ所の契約が約16%、4カ所以上の契約が約12%となっています。

この結果から、多くの企業が集中管理型の物流体制を採用している一方で、事業規模や地理的な展開に応じて複数拠点での分散管理を行う企業も少なくないことを示しています。特に4カ所以上という回答も12%あることから、大規模な物流ネットワークを構築している企業も一定数存在することが分かります。

倉庫事業者としては、単一契約の小規模利用者向けのサービスが基本となる一方、複数拠点を一括管理できるようなサービスや、拠点間の連携を支援するシステムなども需要があると考えられます。

調査結果⑨安全性のルール周知度について

倉庫内の安全ルールの周知状況については、「非常にそう思う」が約18%、「ある程度そう思う」が約40%と、合計58%の回答者が肯定的な評価をしています。これは半数以上の利用者が安全ルールの周知に一定の満足感を示していることを表しています。

「どちらとも言えない」という中立的な立場が約32%と約3分の1を占めており、安全ルールの周知について特に強い印象を持っていない利用者も多いことが分かります。

一方、「あまりそう思わない」と「全くそう思わない」がそれぞれ約5%ずつで、合計10%の利用者が安全ルールの周知に不満を持っていることが示されています。

この結果から、安全ルールの周知は概ね良好と評価されているものの、約3分の1の利用者が明確な評価をしておらず、また1割の利用者は不十分と感じていることが読み取れます。安全面は倉庫運営において最重要事項の一つであることを考えると、「どちらとも言えない」や否定的な回答をした利用者に対して、より効果的な安全ルールの周知方法を検討する余地があります。

定期的な安全講習の実施、視覚的に分かりやすい安全表示の設置、デジタルツールを活用した情報共有など、多様な周知方法を組み合わせることで、さらに安全意識を高める取り組みが有効かもしれません。

調査結果⑩安全策の改善余地について

倉庫内の安全ルールに関する改善ニーズについては、「非常に改善が必要」と感じている回答者が約19%、「ある程度改善が必要」と感じている回答者が約42%となっており、合計で61%の利用者が何らかの改善が必要だと考えていることが分かります。これは安全面での課題認識が高いことを示しています。

「どちらとも言えない」という中立的な立場も約34%と約3分の1を占めており、安全ルールについて明確な意見を持っていない、あるいは判断材料が不足している利用者も少なくないことが示唆されています。

「特に改善の必要はない」と回答したのはわずか約5%で、現状の安全ルールに完全に満足している利用者は少数派であることが分かります。

この結果から、倉庫運営において安全ルールの改善は多くの利用者が認識している重要課題であり、特に6割以上の利用者が改善の必要性を感じていることから、早急な対応が求められていると考えられます。

具体的な改善ポイントは示されていませんが、先の安全ルールの周知に関する質問と併せて考えると、ルール自体の見直しとともに効果的な周知方法の改善も必要であると推測されます。

倉庫事業者としては、利用者と協力して具体的な改善点を特定し、実効性のある安全対策を講じることが重要であると言えるでしょう。

まとめ

貸倉庫市場調査の結果から、製造業・小売業を中心とした多様な業種が利用しており、主に商品・在庫・部品の保管目的で使用されていることがわかります。選定理由は立地の良さと手頃な賃料が重視され、半数以上が「良かった」と評価しています。利用期間は約56%が3年以上または終了予定なしと長期的です。

改善要望としては賃料見直し、セキュリティ強化、温度管理設備の充実が上位を占めています。安全面では58%が周知は良好と評価する一方、61%が何らかの改善が必要と感じています。この結果を踏まえると、倉庫運営者は今後の市場動向を見極め、特定の業種向けにサービスをカスタマイズするなど、戦略的な対応が求められるでしょう。

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