使っていない倉庫を有効活用したいけれど、具体的に何をすればいいのか分からず、困っている方も多いかと思います。広いスペースと自由度の高さが特徴の倉庫には、さまざまな活用方法があります。
今回は、倉庫を有効活用する方法と併せて、活用する前に知っておきたいメリットとよくあるトラブルをご紹介します。
使っていない倉庫はどうすればいいの?
倉庫にはさまざまな活用方法があるため、現在の空き倉庫の状況を把握し、それぞれの活用方法のメリット・デメリットを比較・検討しなければなりません。
まずは、空き倉庫の代表的な活用事例をご紹介します。使っていない倉庫には、「倉庫のまま所有する」「売却する」「リノベーションして新たな用途に活用する」の3つの選択肢があります。
倉庫のまま所有する
空き倉庫の活用方法が思いつかない場合は、とりあえずそのまま所有しましょう。所有しているだけでは利益は生まれませんが、慌てて取り組んだビジネスで失敗するよりも、とりあえず現状を維持したまま、じっくりと今後のプランを立てる方法も賢明だといえます。
また、倉庫を使う予定がない場合は、そのまま貸倉庫として貸し出す方法もあります。
インターネット通販の市場規模は拡大し続けており、物流量も大幅に増加しました。物流量の増加に伴い倉庫の需要も高まっているため、倉庫を所有したまま貸倉庫として貸し出す方法も有効です。
倉庫を活用する場合、「どれくらいの利益が得られるのか」「どれくらいで初期投資を回収できるのか」などの調査・分析が必要です。また相場なども調べる必要がありますので、使っていない倉庫を維持したまま、じっくり活用する計画を立てましょう。
売却する
使っていない倉庫をどうするか考えた際に、真っ先に思いつくのが売却ではないでしょうか。事業活動の縮小や事業内容の変更などの理由で、倉庫を今後も使わない場合は、売却も選択肢の一つになります。
倉庫を売却する場合、建物ごと売却する「現状引き渡し」と、更地にして売却する2つの方法があります。倉庫の建物がまだ使える状態であればそのまま売却できますが、建物の老朽化が進んでいる場合は、建物を解体して更地にしたほうが、買い手が見つかりやすいでしょう。
リノベーションして新たな用途に活用する
倉庫ならではの広い空間と自由度の高さを生かしてリノベーションし、新たな用途に活用する方法もあります。
コンクリート打ちっぱなしの床や壁、むき出しの鉄骨や配管といった倉庫特有の雰囲気は、一般的な建物にはない魅力です。最近では、既存の倉庫をおしゃれなカフェやレストラン、店舗やオフィスにリノベーションする事例が増えています。
床面積が広く間仕切りのない倉庫は、レイアウトの自由度が高いため、思い通りの店舗やオフィスを造れます。
倉庫のまま所有するメリット・デメリット
使っていない倉庫をどうすればいいのか分からない場合は、そのまま所有しておきましょう。
空き倉庫を所有し続けることには、どのようなメリット・デメリットがあるのかを解説します。
メリット
・資産価値を維持できる
倉庫をとりあえず所有することには、資産価値を維持できるメリットがあります。売却した場合のように、所有権を失う心配がありません。
特に、今は使う予定がなくても後から利用する可能性がある場合や、将来的に需要の増加が見込まれる場合は、安易に活用しないほうがよいでしょう。
・活用方法をじっくりと考えられる
倉庫をとりあえず所有する場合の大きなメリットが、活用方法をじっくりと考えられることです。無計画に活用すると失敗するリスクが高くなるため、自社にとってどのような活用法が向いているのか、現状を調査・分析する時間が必要です。
倉庫は倉庫として使う以外にも、さまざまな活用方法があります。倉庫運用の知識と実績が豊富な専門家に相談することで、自社に最適な活用方法が見つかるはずです。
倉庫をどのように活用したらいいのか社内で解決できない場合は、ぜひ幅広い知識を持つ倉庫運用の専門家に相談してみましょう。
デメリット
・固定資産税がかかる
倉庫を所有していれば、倉庫を使っているかどうかに関わらず、建物と土地に固定資産税がかかります。固定資産税は倉庫を所有し続ける限りずっとかかりますので、負担に感じる場合は他の活用方法も検討しましょう。
・管理の手間がかかる
倉庫をそのまま所有する場合、維持管理に手間と時間がかかることがデメリットです。
老朽化が進んだ建物は、破損や倒壊の危険性があるだけではなく、不審者が出入りしたり、害虫や害獣が入り込んだりする恐れもあります。そのため、日常的なチェックと定期的なメンテナンスを行う必要があり、手間や時間、費用がかかります。
貸倉庫として貸し出した場合は、借り手が倉庫を管理することが一般的です。日常的なチェックや定期的なメンテナンスなど、維持管理にかかっていた負担を軽減できます。
・活用しないと利益が生まれない
倉庫をただ所有しているだけでは、当然ながら利益は生まれません。固定資産税に加えて、維持管理にも多少の費用がかかるため、利益を得るためには倉庫を活用する必要があります。
自社で使用しない場合は貸倉庫として貸出す事によって、毎月賃料収入が得られます。
倉庫を売却するメリット・デメリット
次に、倉庫を売却するメリット・デメリットを解説します。
メリット
・現金化できる
空き倉庫を売却する大きなメリットが、現金化できることです。倉庫の大きさや立地などさまざまな条件によりますが、まとまった資金が得られるため、新しいビジネスにチャレンジできる可能性があります。
ただし、一度手放した倉庫を再び手に入れることは容易ではありません。将来にわたって本当に使わないのか、慎重に見極めることが重要です。
・固定資産税がかからない
使っていない倉庫は所有しているだけで固定資産税がかかりますが、倉庫を売却すると固定資産税はかかりません。
ただし、固定資産税は毎年1月1日時点で、自治体の固定資産課税台帳に登録されている所有者に課税されます。そのため、年の途中で売却した場合も、その年の税金は売主に納付義務があるのです。
一般的には、契約日(引き渡し日)を基準として、売主と買主が日割計算して負担します。倉庫の売買契約を結ぶ際には、税金の分担方法を決めて契約書に記載します。
・管理の手間がかからない
倉庫を売却すると、管理の手間がかかりません。
空き倉庫を管理維持するためには、日常的なチェックと定期的なメンテナンスが欠かせないため、手間や時間、費用を負担に感じる場合もあるでしょう。
使っていない倉庫を売却すると、倉庫を所有する際のデメリットがなくなります。
デメリット
・資産を失う
倉庫を売却すると、当然ながら倉庫という資産を失います。
また、通常の土地や建物とは異なり、倉庫の売却は買い手が見つかるまでに時間がかかる傾向があります。倉庫の売却を検討している場合は、早めに不動産会社などへ相談しましょう。
・売却に伴うさまざまな費用が発生する
倉庫の売却に限ったことではありませんが、建物や土地などの不動産を売買する際には、さまざまな費用が発生します。
具体的にかかる費用は、一般的に以下の通りです。
①登記報酬費用:登記を抹消する際に司法書士に支払う手数料です。
②解体費:建物を解体する場合には解体費がかかります。
③測量費:買い手から要望があったり、土地面積が大きかったりすると、測量を実施する場合があります。
④仲介手数料:仲介を依頼した不動産会社へ支払う手数料です。
また、倉庫を売却するには税金もかかります。具体的にかかる税金は、一般的には以下の通りです。
①印紙税:売買契約を結ぶ際に、売却金額に応じた印紙税を納付します。
②登録免許税:倉庫の所有権を売主から買主に移転させる費用です。
③譲渡所得税:倉庫を売却して得た利益には、譲渡所得税がかかります。
・さまざまな書類が必要
こちらも倉庫の売却に限ったことではありませんが、建物や土地などの不動産を売買する際には、多くの書類が必要となります。
倉庫の売却では、主に以下の書類が必要です。
①登記事項証明書(登記簿謄本)
②登記済権利証もしくは登記識別情報通知書
③公図もしくは14条地図
④確定測量図・境界確認書
⑤建築確認済証および検査済証
⑥固定資産税納税通知書
他にも、倉庫の図面や設備の仕様書、会社の代表者や取引担当者の本人確認書類なども必要になります。契約する不動産会社によっても必要書類は異なります。よく確認してから準備しましょう。
倉庫を活用するメリット・デメリット
3つ目の選択肢である、倉庫を活用するメリット・デメリットを解説します。
メリット
・資産を維持できる
空き倉庫を手放さずに活用することで、資産を維持できます。活用して利益が得られれば、固定資産税の支払いに充てられるでしょう。
・継続的な収益につながる
使っていない倉庫を活用することで、継続的な収益につながります。
例えば、リノベーションしてカフェやレストランを運営すれば売上から利益が得られ、テナントへ貸し出した場合は毎月賃料収入が得られることがメリットです。
倉庫は用途変更しやすいため、活用方法は多岐にわたります。定番の店舗やオフィスから、駐車場や倉庫兼住宅など、さまざまな用途に転用できるため、貸倉庫として貸し出せば継続的な収益が期待できるでしょう。
・管理の手間がかからない
管理の手間がかからないことも、空き倉庫をリノベーションし、テナントへ貸し出した場合のメリットの一つです。
テナントへ貸し出した場合、借り手が物件を管理することが一般的です。日常的なチェックや定期的なメンテナンスなど、維持管理にかかっていた負担を軽減できます。
デメリット
・事業に費用がかかる
使っていない倉庫を活用して新たに事業を始める場合、費用がかかる場合があります。
貸倉庫として空き倉庫をそのまま貸し出す場合は、それほど費用はかかりませんが、カフェやレストランを自社で運営する場合は、リノベーションの費用などがかかります。
事業の内容によっては、電気・ガス・水道のインフラ整備の工事費用や、建物の補強や性能を向上させる費用などが必要になるため、金額も大きくなるでしょう。
・事業計画通りに運ばない可能性がある
ビジネスでは入念に事業計画を立てても、計画通りに事が運ばないことがよくあります。
特に新たに始める事業では、その分野の知識やスキルが不足しているため、うまくいくほうが珍しいともいえます。事業を「絵にかいた餅」で終わらせないためには、需要が見込める立地条件かどうかなど、十分なリサーチが必要です。
リサーチのノウハウなどが社内に不足している場合は、知識とスキルが豊富なプロに相談してみましょう。倉庫活用の実績が豊富な専門家であれば、最適な提案をしてもらえます。
倉庫を有効活用する際のよくあるトラブル
使っていない倉庫を活用する際には、トラブルに注意しなければなりません。テナントへ貸し出す際のよくある3つのトラブルを解説します。
転貸のトラブル
貸倉庫として貸し出す際に注意しなければならないのが転貸です。いわゆる「又貸し」のことで、借り手が所有者に無断で第三者に倉庫を貸すケースがあります。
又貸しは不動産業界ではよくあるトラブルで、近隣からの苦情や災害などのトラブルが起きて初めて、転貸されていたことが発覚します。転貸のトラブルを未然に防ぐためには、契約書に転貸を許可しないことを明記するなど、転貸を起こさせない対策が必要です。
修繕のトラブル
空き倉庫を貸倉庫として活用する際のトラブルとして多いのが、修繕のトラブルです。修繕を所有者と借り手のどちらが負担するのかを契約書に記載していないと、認識の違いによってトラブルが生じてしまいます。
トラブルを未然に防ぐには、「経年劣化による建物の修繕は所有者」「空調やシャッターなど日常的な使用で劣化する設備は借り手」など、どちらが負担するのかを明らかにしておきましょう。
周辺環境・近隣住民とのトラブル
使っていない倉庫を貸倉庫として貸し出した場合、近隣の住民からクレームを受けることも、よくあるトラブルの一つです。
トラブルを未然に防ぐためには、契約前に周辺環境を借り手にしっかりと説明するほか、万が一近隣住民からクレームやトラブルが発生した場合の対処と責任の所在を契約書に明記しておきましょう。
まとめ
使っていない倉庫にはさまざまな活用方法があります。空き倉庫の維持・管理でお悩みならぜひ有効活用しましょう!
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