土地活用といえば、マンションやアパート経営をイメージする人が多いでしょう。ただし、マンションやアパートを建てるには費用がかかるため、比較的初期費用を抑えて始められる倉庫経営が注目を集めています。
この記事では、土地活用における貸倉庫経営のメリット・デメリットと併せて、運営方法や始め方についてご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
土地活用における倉庫経営とは?
貸倉庫経営とは言葉の通り、倉庫の建物や土地のスペースを貸し出して使用料を得るビジネスです。倉庫は規模が大きいため、法人の利用が多い傾向があり、商品や荷物の保管などのビジネス用途での活用が見込まれます。
ここ数年、貸倉庫経営は土地活用法として注目を集めています。物流業界の「2024年問題」によるドライバー不足や輸送能力の低下が懸念されており、輸送効率の向上や在庫管理の最適化、コスト削減などの課題を解決するために倉庫が欠かせないからです。
また、貸倉庫は倉庫のスペースを借りるため、倉庫の所有者と借り手が賃貸借契約を結ぶことが一般的です。
貸倉庫の経営形態
貸倉庫と一口にいっても、さまざまな経営形態があります。土地活用として貸倉庫経営を始める前に、それぞれの違いを理解しておきましょう。
独自運営
まず1つ目の経営形態が、空き倉庫の所有者や所有する企業が、自分自身で倉庫を貸し出す「独自運営」です。
空き倉庫をそのまま活用するため初期投資は必要ありませんが、借り手を見つけるのが難しかったり、倉庫の管理に手間がかかったりするデメリットがあります。
一方で、借り手の募集や倉庫の管理を自身で行うことで、管理会社などに委託した際の手数料がかからないため、使用料をそのまま得られるメリットがあります。
管理業務委託
2つ目の経営形態である「管理業務委託」とは、倉庫の管理を専門の業者に委託する方法です。管理業務委託では、独自運営の「借り手を見つけることが難しい」「管理に手間と時間がかかる」というデメリットをなくせます。
専門の業者が借り手の募集や倉庫の管理を行ってくれるため、自身で借り手を探すよりもスムーズに見つけられます。貸倉庫経営の手間を省きながら、安定した使用料収入を得られることがメリットです。
一方、専門の業者に倉庫を管理してもらうには委託費用を支払う必要があるため、独自運営と比較してランニングコストがかかります。
一括借り上げ(サブリース)
3つ目の形態が、倉庫をまるごと貸倉庫業者に貸し出す「一括借り上げ(サブリース)」です。貸倉庫業者が倉庫の所有者から倉庫を一括で借り上げるため、借り手の募集や管理の手間と時間がかかりません。
毎月一定の使用料を得られるため、安定した貸倉庫経営ができるでしょう。
貸倉庫経営のメリット
貸倉庫経営にはさまざまなメリットがあります。主な4つのメリットをご紹介します。
初期費用を抑えられる
貸倉庫経営の大きなメリットが、初期費用を抑えられることです。空き倉庫を活用すれば初期費用はほとんどかかりません。
また倉庫を新たに建設する場合でも、アパートやマンションと比較して建設費用を大幅に抑えられます。初期費用を抑えて土地活用できることが、貸倉庫経営のメリットです。
利回りが高い
初期費用を抑えられる貸倉庫経営は、利回りの高さもメリットとして挙げられます。
利回りの高さとは、初期費用を回収できるスピードの早さです。初期費用を早く回収できるほど黒字化も早くできるため、初期費用を抑えられる貸倉庫経営は利回りが高いといえます。
管理に手間がかからない
貸倉庫経営では管理の手間がかからないこともメリットです。
アパートやマンションを経営する場合、マンションの出入り口やエレベーターなど、共有部分の定期的な掃除やメンテナンスが欠かせません。管理会社に委託できますが、委託すればもちろん委託費用が発生します。
一方、倉庫は設備もシンプルなので、アパートやマンションのような手間がかかりません。管理にかかる手間や時間、コストも抑えられます。
立地条件に影響されにくい
アパートやマンション、駐車場の経営など、土地活用にはさまざまな方法がありますが、多くの場合において立地に影響されます。特に、アパートやマンションを需要のない土地で経営してしまうと、入居者が見つからず、赤字が続いてしまうでしょう。
一方、貸倉庫に求められるのは、倉庫としての機能や設備です。「天井高が高い」「出入口の幅が広い」など、少ない条件を満たすことで始められます。
貸倉庫経営のデメリット
メリットの多い貸倉庫経営ですが、やはりデメリットも少なからずあります。貸倉庫経営で失敗しないためにも、デメリットも確認しておきましょう。
集客するまでに時間がかかる
貸倉庫経営は比較的新しいビジネスのため、認知度がそれほど高くありません。
また、アパートやマンションほど情報サイトや広告媒体が住宅に比べて多くないため、集客するまでに時間がかかるデメリットがあります。
建設できる土地に制限がある
倉庫はどこにでも建設できるわけではありません。都市計画法により建設できる土地に制限があります。
具体的には、住宅の建築を目的としている、「第一種低層住居専用地域」「第二種低層住居専用地域」「第一種中高層住居専用地域」においては、基本的に倉庫の建設は許可されていません。これから倉庫を建設して貸倉庫経営を始める場合は、あらかじめ土地の用途地域を把握する必要があります。
節税効果が低い場合がある
貸倉庫経営はアパートやマンションの経営と比較して、節税効果が低い場合があります。
アパートやマンションの賃貸経営では、「住宅用地の特例」が適用されるため、土地の固定資産税が最大で6分の1にまで減額されます。一方、倉庫は住宅として見なされないため、税制優遇措置が受けられないことから、節税効果が低くなってしまうのです。その他の条例なども含めて、確認しておきましょう。
貸倉庫経営の始め方
貸倉庫経営の始め方を把握しておくことで、スムーズに貸倉庫経営に取り組めます。これから倉庫を建設する場合の、貸倉庫経営の始め方をご紹介します。
STEP1.土地や周辺環境を調査する
倉庫を建設する土地や周辺環境の調査が必要です。土地の用途地域と併せて、近隣エリアの状況も詳しく確認しましょう。
STEP2.ターゲットを決める
立地調査や競合調査を行い、ターゲットを決めます。ターゲットを明らかにしなければ、適切な顧客層にアプローチできません。
STEP3.経営形態を決める
貸倉庫の経営形態には、「独自運営」「管理業務委託」「一括借り上げ(サブリース)」の3つの方法があるので、メリット・デメリットを比較し、自社に最適な方法を選択します。
経営形態によって効率性や収益性が大きく変わるため、慎重に検討しましょう。
STEP4.倉庫を建設する
建築基準法などの法律にのっとって倉庫を建設します。
STEP5.貸倉庫経営を開始する
倉庫が完了したら借り手と賃貸借契約を結び、貸倉庫経営を始めます。
まとめ
貸倉庫経営はコストを抑えて始められる上に、管理の手間がかからないことから、近年注目を集めている土地活用の選択肢の一つです。
貸倉庫経営を成功させるためには、貸倉庫のプロに相談することをおすすめします。貸倉庫工場市場は、事業用の賃貸倉庫物件・工場物件をメインに取り扱う情報サイトです。倉庫工場物件の紹介や運営管理だけではなく、お客様のご要望に応じて、倉庫工場物件の運営管理・造作・建築など、さまざまなサポートも可能ですので、お気軽にお問い合わせください。